代襲相続って何?代襲相続が相続税に与える影響をわかりやすく整理
本記事では「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」の基礎から、相続税に与える影響(基礎控除・非課税枠・2割加算の取扱い)までを、初めての方にもわかりやすく解説します。
1. 代襲相続とは?
本来の相続人(例:被相続人の子)が、被相続人より先に亡くなっている等の事情により相続できないときに、その者の直系卑属(子ども)が代わって相続する制度を「代襲相続」といいます。
たとえば、こんなケース
- Aさんが亡くなりました。本来の相続人である長男Bさんはすでに他界。
- この場合、Bさんの子(=Aさんの孫)が代襲相続人としてAさんの財産を相続します。
2. 代襲相続が起こると相続人数が増える?(=基礎控除に影響)
相続税の基礎控除額は、以下の式で計算されます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
したがって、代襲相続が発生して法定相続人の人数が増えると、控除額も増えるため、課税対象額が小さくなる(=節税につながる)可能性があります。
計算例
配偶者と子1人が想定だったが、その子が他界しており、孫2人が代襲相続で相続人になったケース:
- 法定相続人:配偶者+孫2人 = 合計3人
- 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
3. 生命保険・退職金の非課税枠も「人数」で決まる
相続で受け取る死亡保険金・退職金の非課税枠は以下の式です。
非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
代襲相続で相続人が増えると、この非課税枠も増えます。
計算例
- 法定相続人が3人の場合:500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税
- 生命保険を活用した資金準備や節税設計において、重要な検討ポイントです。
4. 孫が代襲したら「2割加算」になる? → 原則対象外
相続税には、被相続人の配偶者・子以外の人が相続する場合に税額が2割加算される仕組みがあります。
しかし、代襲相続によって相続人となった孫は、被相続人の直系卑属として扱われるため、原則として2割加算の対象外です。
注意(甥・姪の代襲相続)
- 被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなり、その子(=甥・姪)が相続する兄弟姉妹の代襲相続では、甥・姪は直系卑属ではないため2割加算の対象となる点に注意してください。
- 家族関係・代襲の生じ方により取扱いが変わるため、個別判断が必要です。
5. 手続き面で気をつけたいポイント
- 相続人の確定が複雑化:戸籍収集による系譜確認が重要。代襲の生じた経緯(先死亡・相続欠格 等)の確認も必須。
- 未成年の代襲相続人:遺産分割協議に特別代理人選任が必要となるケースあり。
- 養子縁組の有無・時期:代襲相続の可否や相続人の数に影響する場合があるため、事前確認が必要。
- 人数の数え間違い:法定相続人の人数の誤りは、基礎控除や非課税枠、税額に直結。必ず専門家にチェックを。
まとめ:代襲相続は税負担の面で有利になることも
- 代襲相続が生じると、法定相続人の人数が増えやすく、基礎控除額や死亡保険金・退職金の非課税枠が拡大する可能性があります。
- 孫の代襲相続は原則2割加算の対象外。一方、甥・姪の代襲相続は2割加算対象になる点に注意。
- ただし、戸籍確認・手続きは複雑になりがち。早めに専門家へ相談するのが安心です。
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